重力/Earthbound

CITA/International Center for Theater Arts

2017年3月13日@花まる学習会 王子小劇場

写真提供: John Matthews john-matthews.net

久しぶりに鳥肌が立つほど興奮する舞台を見た。演出家James Sutherland率いるCITA『重力/Earthbound』のワールドプレミアだ。

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時は冷戦時代。日本の宇宙開発の父、糸川英夫と、アメリカ人チェス・プレイヤーのボビー・フィッシャー、その内縁の妻の渡井美代子の物語が交錯しながら進められていく。


今回特に印象に残ったのは、プロジェクション・マッピングを取り入れたライティングだ。幾何学的な光は二人の天才の頭脳を彷彿とさせ、圧巻だった。また、シンプルな小道具を巧みに組み合わせることで、舞台セットが変幻自在に変化して行く様にも驚嘆した。
さらに俳優達は、群舞やスロー・モーションの身体ムーブメントで、登場人物の関係性や心理を表現しており、言葉の壁を越えて伝わってくるものがあった。糸川の話は日本語で、フィッシャーの話は英語で語られるのだが、母国語ではない観客のために字幕や音声で巧みに言語サポートされており、脳内で言語が切り替わりながらストーリーが理解できる、不思議な感覚を味わった。

 

俳優陣も素晴らしく、フィッシャー役のBob Werleyは神経質でエキセントリックなチェス・プレイヤーを好演していた。

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天才チェスプレイヤーを演じるBob Werley(左)

また糸川役のTatsuya Yamamotoも学者らしい気難しさと意志の強さをよく表現していた。

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糸川博士を演じるTatsuya Yamamoto

さらに、忘れてはならないのが、マジシャンのTanba Tambaの存在だ。俳優として糸川の重要なサポート役を演じるのみならず、演出として取り入れられているマジックの監修も行っている。彼の存在そのものがマジックのように、舞台に素晴らしい効果を与えていた。

 

劇中でも素晴らしいマジックを披露するTanba Tamba

これだけ芸術性が高く、アイディアに溢れる舞台をまとめあげる演出家James Sutherlandの今後の活躍に期待している。 今回は一日だけのプレミア公演だったが、ぜひロングランして頂きたい。より多くの方に見て頂きたい、素晴らしい作品だ。

CITA/International Center for Theater Arts: http://internationalcita.com/

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