2016年6月30日(木)~7月4日(月)、日本国内のインプロ団体はもとより、アメリカから来日したパフォーマーや都内在住外国人パフォーマーも交じって作り上げるインプロの祭典が行われた。
インプロって何?
台本がなく、その場で即興で作り上げるお芝居をインプロと呼ぶ。その場でお客様にお題を頂き、すべてアドリブでストーリーを作り上げるので、観客とパフォーマーの一体感が楽しめるのが特徴だ。こちらでもよくご紹介しているバイリンガル即興コント劇団「パイレーツ・オブ・東京湾」(以下POTB)もインプロ団体のひとつ。そのPOTBと双璧をなす団体が東京コメディストア(TCS)で、共に多くのインターナショナルなファンを持つ、人気の団体である。今回は、そのPOTBとTCSが東京インプロフェスティバルでコラボすると聞き、舞台を観に駆け付けた。

インターナショナル・チームの豪華な出演陣
7月2日(土)に出演したインターナショナル・チームこそ、そのPOTBとTCSのコラボチームだ。彼らは日本語も話せるバイリンガルなのだが、今回は英語での上演だった。今回特に印象に残ったのはPOTBのBob Werleyだ。普段はモデルとしても活躍しているハンサムなイケメンなのだが、独特のとぼけた味で可愛らしい魅力を発揮していた。また、演技派のChristiane Brewは、テーマが西部劇になった瞬間にアクセントを変えて、西洋の時代劇の雰囲気を醸し出していた。また、芸達者なRodger Sonomuraは、英語の分からない観客でも笑いがこみあげるようなコミカルな動きと芸の細かい演技で観客を魅了していた。
左からRodger Sonomura, Vinay Murphy, Jeremy Eaton, Bob Werley, Christiane Brew
*撮影:Wang Yayu
日本のインプロ団体とのコラボの面白さ
また、筆者はPOTBを中心とする外国出身者のインプロしか拝見したことがなかったのだが、改めて日本のインプロ団体の面白さに気づかされた。日本語が分かるだけに、腹を抱えて笑いっぱなしだったし、ジーンとするシーンやセリフ回しの軽妙さを楽しむことができた。国際フェスティバルと聞くと、とかく外国に注目してしまうが、インターナショナルは外国とイコールではなく、日本も含めたいろいろな国があってこそ、インターナショナルなのだと気づかされた。
特に、言語や国、チームの垣根を超えていろいろなパフォーマーがその場面に飛び込んできて、ひとつのストーリーを作る様子には、驚きと感動を覚えた。前半はチーム対抗で競い合って来たのに、後半はチームに拘らずにバンバン人が飛び込んで来て、見るものを飽きさせない。しかも物語としてきちんと起伏があって、面白いのだ。特にteam DICE☆Kの刀の声の演技や、OIG(大阪でインプロする会)の東京の魅力を伝えるインプロは良かった。そして一番心に残ったのは、Xpotの“かつて天才児だった男のさえない人生”を描いたストーリーだ。チーム対抗戦で優勝するのもうなずける実力者揃いで、そこに他のチームのメンバーが飛び込んでくることで、さらに物語を盛り上げていた。
国際フェスティバルに期待
日本ではまだ馴染みの薄いインプロだが、こうして多くの団体が集まってフェスティバルを行うことで、他の団体の良さにも気づくことができる。アメリカ、スペイン、イギリス、オランダ、カナダ、韓国など、世界ではインプロの国際フェスティバルが盛んに行われているので、日本も益々盛り上げていって欲しい。特に東京は、国内外のパフォーマーが集まるエンターテイメントの街だ。観客もパフォーマーもさらに国際性に富んだ、魅力的なフェスティバルになることを期待している。
撮影:Wang Yayu
関連リンク
東京インプロフェスティバル:www.tokyoimpro.jp/